男性は自分がどんなに遊んでいても女性に神聖さを求めますから。

 仏系のパーティーは英・仏と続いたせいか、人が溢れかえっていた。私が過去に袖にしたジェロは、僕たちカップルです、と言わんばかりに同年代の女性と熱い口づけを交わしているし、歳の近い海兵隊の親分もすっかり同僚の女性と落ち着いている。バーに行ってワインを頼むと、支払いは済んでいると言われる。なぜ?誰が?と聞くとあちらのフランス人だと示される。ああ、フランス大使の警護官だ。しばらくして、会話中に見つけたのでグラスを挙げてお礼と挨拶をする。そして過去何度も会っているのだけど、初めて彼の声を聞いた気がする。名刺を渡されて、「飲みに行くなり夕食を一緒にしたければ連絡を取るように」と言われた。
 各国デートの誘い方がまちまちだから面白いような難しいような。そして自分がアメリカ市場に慣れている事を改めて認識。英系パーティーで一人カウンターで酒を飲んでいる男性の隣に構えていると、イギリス人だと思っていたその人がアメリカ人と知る。ちょっと会話をしては、好きな曲がかかると失礼して別の人と踊っていた。そのアメリカ人が仏系パーティーで話しかけてきて、立ち話とはいえもうちょっとじっくりと会話をする。職業、職歴、生い立ち、結婚歴、家族構成。まわりまわった言い方で年齢を聞かれると相手が4つ下ということにお互い驚く。私は相手が同じ歳か一つ、二つ上と思っていた。さすが子持ち、落ち着きが違う。

 さて、育った家庭、受けてきた教育、すべてがあまりにも違うこのアメリカ人だが、最近知り合った中では一番誠実そうだ。この街の男性の友人に言わせると、誰しも単身者、やることもなくて悶々としているから目的は只一つであることをよく認識するように。先は見えているのだから妙な事に足を突っ込まないようにとのアドバイス。それを言い訳に、何にも足を踏み出さないというのも得策か、ここは迷うところだ。流されずにあまり考え過ぎずに相手を見極めるとしよう。これからそのアメリカ人とランチだ。