そしてアクション

 無くしたと思ったカメラも無事に出てきたし、持っていないと思っていた金券も私の手元にあった。Riekoが差し出すアラブ王子の名刺をもらってくる。さて、なんと電話したものか。「こんにちは。土曜日に金券を持って帰っちゃったみたい。」と5日も経ってから切り出すのか。するとその時交わしたはずの会話になった場合に電話口で記憶に無い事を言わなくてはならない。相手の名前を聞いた覚えも無いのだけど、名乗って握手を交わした可能性もある。そしてその電話に続いて受け渡し方法を考えなければならない。ああ、メールで済ませたい。と思った瞬間に、職場のお使い係に届けさせるという手があることに今更ながら気がついた。Rからは、「今日はエジプトのナショナル・デーだから「間違えちゃった」、で大丈夫♡」という連絡があり。あほ。とにかく、土曜日の失われた記憶を断片的な状況証拠をつなぎ合わせている最中に、金券が我が家に出没した旨の説明と謝罪のメッセージを手持ちのカードに書いて封筒に金券と共に入れる。ここまでくると面白いから名刺も入れずに名前と役職と組織だけを差出人として書く。なんでも4人しかいない大使館の何でも屋な三等書記官だそうだ。おー、ということは20代の可能性さえある。連絡が取りたかったら代表番号からかけて来るでしょう。