職場の男性達と奥さん達との付き合い

 職場の飲み会で、たまたま一列に並んだ男性陣を一瞥したRが、「こうしてみるとうちの職場の人ってほんと、イケてないですね。」と。優等生系が多いのだから、イケてなくて当たり前だ、と思いながら「そうかなあ、Sさんはお洒落だし、Tさんもそれなりに上背もあるし、Nさんは普通にカッコいいし、次は飛ばして、Bさんもセクシーじゃない。」と答えると、「ああ、やっぱり私たちタイプが違いますね。」と一蹴。たまたま来ていたBさんの奥さんが、Bさんに物申すと逆切れされるから言わないと笑っていた。Rは「私だったら絶対に怒りますね、私をなんだと思っているのって。」と奥さんに言うからおでこをぴしゃりと叩いて、「だからあなたは独り者なの。」といなしておいた。Rも私ももっと普通の同郷人を好きにならなくては。そしてRは奥さん達にすり寄らなくては。

 職場の男性は、それなりに粒ぞろいだと思うし気が合う人も多い。公私が混ざっていて、お互いの家にも行き来する環境だから家族ぐるみの付き合いだ。だからこそ奥さん達にうんと気を使う。こちらはその意識は無いけど、働く女性に対する違和感は相当のものらしい。歳が奥さん達とほとんど変わらないから、私はわりとすんなりと入って行けるけど、ちょっと下で、いかにも独身女性という感じのRとはちょっと隔たりがある。奥さん達が働く女性と接する機会があまり無いのと同じように、私たちも専業主婦と接する機会はそうそうなかった。だから当然異文化の人同士。

 やきもち焼きの奥さんも、疑心暗鬼になる人もいないからトラブルもないのだけど、ある国連職員の外国人男性から指摘された事がある。私たち働く女性は奥さん達よりもよっぽど長く職場でご主人達と接している。夫婦間での会話よりも多くの会話をしていたりする。仕事も一緒にすればおしゃべりもする。たまに職場の人達で飲みに行く。私たちは、毎日化粧をして、スーツを来て、彼女達の想像では毎日ご主人の周りを颯爽と闊歩しているのである。男性陣からしてみても、私たちなんて全然そういう対象じゃないから、と笑っちゃうとしても、奥さん達にとってはあまり愉快な存在でない。東京や他の都市であれば会社は会社、であまり気にならないと思うけど、こんなに私たちが身近で実体を持つと違うはず。だから私は職場の妻帯者の男性と2人でご飯食べる事もしないし、週末は家族持ちは誘わない。お気に入りのNさんが、飲み会を盛り上げるために「踊りませんか。」と来たときもほどほどにしておいた。Nさんは単身赴任だが、既婚者には変わりないし、奥さんがしばらくこちらにいたから奥さんネットワークの仲間だ。いかにNさんも私も宴会係として仕事に徹して踊っているとしても私は奥さんネットワークを敵に回したくない。「別に大丈夫ですよ、週末もどうせ別行動ですから。」とBさんは言うけど、男性同士でゴルフしているのは許せても、奥さんが子供の面倒を見ているときに私たちが一緒にハイキングとか飲み会をしていたら、なんでもないと理性では分かっても面白くない。少なくとも私が逆の立場ならそうだ。そうなると、ちょっと一杯、とかお昼食べましょう、とか東京でなら普通に2人で会う相手探しにも苦労するのだ。