U R A GREAT KISSER...

同僚からの案内に従ってプールパーティーなるものに行った。目を白黒させながら豪邸の地下に案内される。奥にはきれいにライトアップされたプール。熱海のビラデルソルだってこんなセンスの良い豪華さじゃなかったぞ。主催者も品の良い若者。推定年齢25歳。共同主催者の妹は20歳位。あとから彼女の友達が来る、と聞いていて、どんな恐ろしいモデル集団が来るのかと思いきやこれまた品の良い男性陣ばかり。「おてんばなんだよ、妹は。」と兄。

 人違いから話し始めたスペインとフランスのハーフの男性。背がすらっと高くて、ごつくないけど身体が締まっていて、顔つきもアジアっぽい薄さ。知的なきれいな英語とドイツ語まで操る。大学院も名が通っている。もと銀行員で今は国際機関職員。Riekoも外見だけとらえて「今日居る中で一番良いじゃないですか。」といいながらも本人はアダモとの逢瀬に移動しなきゃならない、と気もそぞろ。そんな中で西仏人と私は距離が縮まっていく。年齢の話になると、きっと自分が上だから夕食を賭けようと言う。勝負は付いているようなものだ。やっぱり先方は32歳。

 終盤、立って腰に手を回されて寄り添うように話しているのを目にしてか、28歳の、仲の好いドイツ人に「彼の事知っている?」と聞かれる。今日知り合った、と答えると。「僕は先週彼と何人かと湖の畔で一緒だったんだけど、状況を良く見て自分で判断して行動した方が良いと思うよ。」と奥歯にモノが挟まった言い方。何回か言い直させて、彼が言わんとしている事は、ここは短期の任期中に存分に楽しもうとする輩が多いという事。なんだよ、またかよ〜。
 言われてみれば、私は一人暮らしか、とか家に日本酒が冷えているか、自分はフランス人だからシャンパンが常備されている、とか、地元のバルセロナに勤務することはあるのか、とかそこらの女の子が期待で目が♡になるようなことを言っていた。お暇しようとすると外まで送ってくれることになった。途中もちろん電話番号の交換。最近は面倒だから相手に自分の携帯を渡して打ち込ませている。門の外まで来て、じゃあまたね、と抱擁しながら欧州式の頬を2回寄せる。もう、予感通りにぎゅっと抱きしめられた後にキスをされる。運転手が気づくじゃないか、あああ、と思うとその時間はたったの1秒半。正直安心しつつもちょっと拍子抜けしながら皆パターンが似ているなあ、と思っていると「数日後に電話するから。」と。そこで別れて車に乗り込んだ。走り出してしばらくすると携帯メール。全部大文字で<キスウマイヨネ>と入っている。これも常套句なのか英語の人の礼儀なのか。「え?あれキスに入るの?良い週末を。」と返しとく。どいつもこいつも。