あっという間にメッキがはがれ落ちちゃった。

 昨日の昼時にRSSフィードでブログ更新が入ってきた。なんだ?と思うと元彼の旅行記。っていうか、新しい彼女と私たちが一緒に暮らしていた街に連れて行き、2人で通った店で食べ歩いている記録だ。その店のほとんどは私が連れて行ったものだろう。泣くかと思ったけどちょっと呼吸困難に落ちいっただけで即座に緊急飲み会を招集。皆既婚者とはいえ、3人の男性を集めておいた。これで一安心して日中仕事に専念できる。するとそのちょっと後で、これまた予期していなかったといえば嘘になるが、西仏人から「今晩なにしている?」と携帯メールが入る。よかった、飲み会を設定しておいて。「あーら、残念。夕食の誘いに応じちゃった。」「いつ会えるの?」に対して、私は金曜日しか開いていないと言うと、隣町に出るかもしれないから、それは無理だという。「その小旅行次にしなさいよ。後悔させないって。」と携帯メールを入れとく。保証できないことを適当に言っているよ、私。すると就業時間終了後きっかり5時半に「今から出て来れない?コーヒーを飲もうよ。」と来た。うかれて1時間ばかり会ってきて、一人で盛り上がって飲み会に突入。しかし、飲み会で集めた男性達は、招集理由であるブログで元カレの動向を知ったショックに対して当然無関心だ。え、あれまだ吹っ切れてなかったの?と笑われて終わり。狙っている西仏人とは目的は何なのか、都合の良い女になりたいのか、とか駆け引きなんてやっているな、とかばっさりばっさり切っていく。キャバ嬢のテクを盗め、とか。

 西仏人から翌日に連絡がないまま、共通の友人から誘いが来て、6人くらいで夕方、郊外の別荘に行くというのに誘われた。その他のメンバーには西仏人も入っている。昨日の夕方以降の反応が鈍い事が多少気になりながらも集合場所に向かう。遅れて登場した西仏人。あれ、ひょっとしてあか抜けない?パーティーで見たお洒落な青年は仕事帰りはとってもイケてない。元銀行家ならば革靴くらいは履いていて欲しいが、だめだめなアディダスのぼろスニーカーに、安売りしていそうな綿パンツにだらりと垂れたシャツ。極めつけは落ちないように頭の後ろで紐で固定している黒斑眼鏡。がーん。声と背と語学力に目くらましをかけられていたのだ。

 夜が更けていくにつれ、かっこわるさは拍車をかける。土曜日の波長はどこに行ったのかと思うくらいに、そこに盛り上がりは何も無い。それに比べて前回のパーティーの主賓のZの育ちの良さよ。がっついたところが微塵も無くて、純粋に人が良い。あなたをこの街の弟にします、というかんじ。西仏人とは会話が減る。帰り際に、新しい弟が週末電話するよ、と頬に一度キスをくれる。これですよ、正しい男女の友情のキスは。頬に軽く一度だけ唇で触れるのです。そう思ったら西仏人が「また近々ね。」と2度頬を寄せる。これはアメリカではゲイっぽいといって男性は嫌う。ていうか、お前、本日最初に会ったときに握手しやがったじゃないか。失礼も甚だしい。ていうか、手順がよく分からなかったのはイケてないからだったのか。ああ、恋心は1週間も持たなかった。