結婚してきた？ -

同僚に会って、ひさしぶりーの挨拶と共に、ちゃんと結婚してきたか聞いてみた。ついでに「プロポーズはしたの？」と聞いたら、逸らせた目がちょっと細くなって「しましたよ。ちゃんと覚えていると思いますよ。」と力強く答えた。想像以上の手応えだ。詳しく聞きたい心を抑えて、ひとまず解散。頃合いを見計らって、「結局どうやってプロポーズしたの？」と切り出すと苦笑して「どうだったかなー」と誤摩化そうとする。あまり饒舌なタイプじゃないけど誠実そうな好青年なのである。高校生のファンが着くくらいにあっさりした整った顔立ちと運動神経が良さそうな上背の、イマドキなようなそうじゃないような、このタイミングできちんと結婚しようと決めた彼に私の中ではますます株が上がっている。
　私が押していた東京湾のサンセットクルーズは台風ど真ん中で実現できなかったそうだ。人のプロポーズを自分の事のように、サプライズがいい、とかやっぱり数日前からワクワクしたい、とか職場で会うたびに希望を伝えていた。もう結婚間近だから、指輪じゃなくていいから残る物が欲しい、と騒いだのが奏功して、カルチェの指輪のネックレスを渡したそうだ。適当な石をここで選んでいくのじゃなくてちゃんと彼女の雰囲気に合うブランドにして、とも頼んであった。ティファニーじゃないなじゃないかな、とかカルチェじゃない、とかブルガリかなあ、とか。「泣いて喜んでましたよ。」とまた細い目で言っていた。一度だけお会いした、しっかりしたちょっと年上の同じ職業の彼女はそんなに涙もろそうではない。だからその一言を聞いて私までちょっとうれし泣きのお裾分けをもらった気がした。おまけに口べたの同僚から、「自分じゃおもいつかなかったですよ。」と私のお陰だまで言われてしまった。回教正月そうそうに幸先が良い。