悩んでも仕方ないし

 気がついてみれば密度の濃い時間を一人の相手と過ごしている。小さな街だから10分でお互いの家を行き来できるし、家族もしがらみも無い異国の地だし。

男性は新しい恋人を見つけると名前をつけて保存して、たまに過去のファイルを開いて見るけど、女性は次の相手を見つけると「彼氏」ファイルを上書き保存する、と誰かが言っていた。そういわれて見ると、同棲していた前の彼氏(それも口頭での婚約あり)と別れた時に、次に別の相手と出逢っても前と比較して恋しく思うのだろうなと悲嘆にくれていた。ところが案の定、次が現れると前が突如冴えなく見える。次が現れる前にすでにつまらなく見える事もあったけど。

教訓は、別れた相手を惜しむ時間は無駄ということだ。そして今回の相手とはこの街限りとしか思えないけど、ここで相手の名言。「男女関係は命と同じように思っとく。明日絶えるかもしれないし、20年続くかもしれない。」戦地で3度も命拾いをしている人が言うと妙に説得力がある。

 ああ、でもこうやって赴任した先で不毛な恋愛を繰り返して40歳を迎えていくのか。2人の子持ちの男性の友人に嘆くと、「そのどこが不毛かわからない、やけに保守的な事を言うね、」と言う。「結婚して子供がいないといけないのか、それはそれで退屈だよ、恋愛なんて久しくしていないなあ、」と。うーん、無い物ねだりなのかしら。でも普通の家庭がやっぱり欲しいぞ。